写真に写る歯並びがずっと気になっている——前歯のガタつきは、矯正のご相談でよく伺うお悩みのひとつです。
前歯部の軽度なガタつきは、マウスピース矯正で対応を検討しやすい症状のひとつです。ただし、ガタつきの程度によっては、マウスピース矯正だけでは対応が難しく、別の方法をご提案する場合があります。このページでは、その見極めの考え方と、治療の際に必要になることがある処置についてもご説明します。
前歯のガタつき(叢生)とは — なぜ歯が重なるのですか?
歯が並ぶスペースが足りず、歯が重なったりねじれたりしている状態を、歯科では叢生(そうせい)と呼びます。いわゆる八重歯も叢生の一種です。
主な原因には、次のようなものがあります。
- 顎の大きさに対して歯が大きい(スペースの不足)
- 乳歯を早くに失ったことなどによる、生え変わり時の位置のずれ
- 口呼吸や舌の位置の癖による歯列への影響
ガタつきの治療は「足りないスペースをどう確保するか」が中心になります。スペースの確保には、歯列をわずかに広げる、歯の表面をごくわずかに削る(IPR)、抜歯する、といった方法があり、ガタつきの量によって選択肢が変わります。
マウスピース矯正が向いているケース
適応しやすいケース
適応の判断は、ガタつきの量だけでなく、奥歯の噛み合わせ、歯ぐきや骨の状態も含めて行います。
慎重な判断が必要・別の治療をご提案するケース
スペースを作る処置(IPR)について — 歯を削るのですか?
ガタつきの治療では、歯と歯の間をわずかに調整してスペースを作る処置(IPR:歯間削合)を行うことがあります。削る量や部位は、歯の形、エナメル質の厚み、必要なスペースの量を確認したうえで計画し、必要最小限の範囲で行います。【要確認:院内でのIPR実施有無・標準的な削合量】
歯を削る処置であることに変わりはないため、当院ではIPRを行う場合は、治療計画の段階で部位と量を事前にご説明し、ご了承いただいてから行います。説明なく削ることはありません。
治療の概要と費用
前歯のガタつきのマウスピース矯正では、透明なマウスピースを段階的に交換しながら、歯の重なりやねじれを少しずつ整えていきます。
マウスピース矯正は、公的医療保険が適用されない自由診療です。
マウスピース矯正
片顎(トレー5枚)
160,000円
標準的な費用(税込)
マウスピース矯正
両顎(トレー10枚)
320,000円
標準的な費用(税込)
総額に含まれるもの
検査 2,200円
レントゲン 4,400円
マウスピース(5枚まで)
再診料・模型代
調整・経過確認
※遠方の方には、1度のご来院で設計し後日まとめてお送りする対応も可能
※通院の目安は10回程度(2〜3週間ごとに型取り→約1週間後にお受け取り)
※保定装置(リテーナー):通常は最後のマウスピースが保定装置を兼ねるため、追加費用はかかりません。別途ご希望の場合は、マウスピース1枚分(11,000円・税込)
※ホワイトニングと併用する場合、ジェル代(1本2,000円〜・税込)
ガタつきの矯正で知っておいていただきたいこと
マウスピース矯正は歯を削る治療ではありませんが、歯を動かす力をかけ続ける治療のため、一時的な症状や、歯・歯ぐきへの影響が生じることがあります。むし歯や歯周病がある場合は先にそちらの治療が必要になるため、事前の検査で確認します。
ガタつきの治療では、スペース確保のためにIPR(歯の削合)が必要になる場合があります(詳しくは上記「スペースを作る処置(IPR)について」をご覧ください)。また、ガタつきが想定より強い場合、治療途中で計画の見直し(追加のマウスピースや治療法の変更)が必要になることがあります。
痛みと知覚過敏
装着開始時や新しいマウスピースへの交換直後に、痛みや違和感が出ることがあります。また、治療開始直後などに歯がしみる症状(知覚過敏)を感じることがあります。
マウスピースを交換するたびに歯に新しい力がかかるため、歯が動き始める過程で一時的に痛みや圧迫感を感じます。知覚過敏も、歯に力がかかることで一時的に神経が敏感になるために起こります。いずれも次第に慣れていく方が多い症状です。
当院では、症状に応じてフッ素塗布などの処置を行うことがあります。痛みが強い場合や知覚過敏が長引く場合は、通院時に状態を確認して対応します。
装着時間と治療の進行
決められた装着時間を守れない場合、予定どおりに歯が動かず、治療期間が延びることがあります。
マウスピース矯正は、取り外しができることが利点ですが、同時に、装着時間が治療効果を左右するという特性があります。ワイヤー矯正では装置が常に固定されているのに対し、マウスピース矯正では患者さまご自身が装着時間を管理する必要があります。
当院では、1日20時間以上の装着を目安としてお伝えしています。通院時に歯の動きを確認し、計画どおりに進んでいるかを確認します。装着時間の確保が難しい場合は、治療計画の見直しを含めてご相談します。
歯の移動に伴う変化
歯の移動に伴い、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)、歯の根が短くなる(歯根吸収)、噛み合わせに違和感が出ることがあります。ガタつきの治療では、重なっていた歯が並んだあとに、歯と歯ぐきの間に小さな隙間(ブラックトライアングル)が目立つことがあります。
矯正治療では、歯を支える骨や歯ぐきに力がかかり続けます。この過程で、歯ぐきの位置や歯根の長さに変化が生じることがあります。ブラックトライアングルは、重なりによって隠れていた歯ぐきの形が、歯が正しい位置に並ぶことで見えるようになるために起こります。
当院では、治療前にレントゲン等で歯や骨の状態を確認し、無理のない範囲で治療計画を立てます。ブラックトライアングルが予想される場合は、事前にその可能性をお伝えします。通院時に歯ぐきの状態や噛み合わせの変化を確認し、必要に応じて計画を調整します。
歯の神経への影響
まれに、歯が矯正の力に耐えられず神経がダメージを受けることがあります。歯の変色などの症状として現れることがあり、その場合は神経の治療や被せ物などの処置が必要になることがあります。
矯正で歯に力がかかり続けることで、ごくまれに歯の内部の神経(歯髄)が影響を受けることがあります。リスクとしての頻度は低いものの、起きた場合は追加の処置が必要になります。
当院では、治療前の検査で歯の状態を確認し、リスクが高いと判断した場合はその旨をお伝えします。治療中も歯の変化に注意し、異常が見られた場合は速やかに対応します。
後戻りと保定
治療後、保定を怠ると、整えた歯並びが元の方向に戻ってしまうことがあります。
歯は矯正で移動した後も、元の位置に戻ろうとする力が残っています。この力は治療直後が最も強く、時間の経過とともに徐々に弱まりますが、一定期間は保定装置で歯の位置を安定させる必要があります。
当院では、治療完了時に保定装置(リテーナー)をお渡しし、装着方法と期間をご説明します。保定期間中も定期的に確認し、歯並びの安定を見ていきます。
よくあるご質問
臨床30年、マウスピース矯正に20年向き合ってきて、お伝えしたいことがあります。
それは、症例によって適した治療は異なるということです。インビザラインやワイヤー矯正など、大がかりな矯正が適しているケースもあります。一方で、そこまで大がかりな矯正を必要としないケースもあります。当院では、歯並びだけでなく、噛み合わせや治療目的を確認したうえで、マウスピース矯正アクアシステムの適応を慎重に判断します。
検査をしなければ判断できません。
- 前歯の重なりやねじれが気になっている
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