「アクアシステム」という名前を、初めて聞く方は多いと思います。インビザラインのように広く知られている装置ではないため、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
アクアシステムは、米国で矯正歯科を学び、セントルイス大学やハーバード大学でも教育に携わった日本人矯正歯科医・宮島邦彰先生が、透明なマウスピースによる矯正治療として体系化した方法です。当院の院長は、その開発者から直接この治療法を学びました。
このページでは、アクアシステムの成り立ち、特徴、当院での製作体制、適応できる範囲とできないこと、費用、そして知っておいていただきたいリスクまでご説明します。
出典について:アクアシステムの開発経緯に関する記述は、開発者・宮島邦彰先生による公開記事「日本発のマウスピース矯正、アクアシステム開発秘話」(note、2025年8月18日)および公開されている経歴情報に基づいています。当院では、開発者の記録として紹介しつつ、実際の適応は患者さまごとの検査結果に基づいて判断します。
アクアシステムは、どのような治療ですか?
アクアシステムは、透明なマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かす、マウスピース型の矯正治療です。特定のメーカーが販売する既製品ではなく、治療法として体系化されたものです。当院では、歯科医師の診断と治療計画に基づき、患者さま一人ひとりの歯型に合わせて装置を製作します。
アクアシステムの歩み — 開発者の記録から
アクアシステムの開発経緯について、開発者である矯正歯科医・宮島邦彰先生は、公開記事の中でその歩みを紹介しています。
宮島先生によれば、アクアシステムの源流は、1970年代に吉井修先生が開発した透明な保定装置「ソフトリテーナー」との出会いに遡ります。宮島先生はこの装置を「歯を保つだけでなく、動かす治療にも応用できるのではないか」と考え、材質や使用法の工夫を重ねて、初診から保定、ホワイトニングまでを含むマウスピース矯正法として体系化しました。アメリカ矯正歯科医学会での発表を経て、1989年には日本国内でも発表され、以後セミナーなどを通じて多くの歯科医師に伝えられてきたと、開発者は述べています。
宮島先生は米国セントルイス大学大学院で矯正学を学び、のちにセントルイス大学矯正科臨床教授、ハーバード大学歯学部客員教授を歴任しています。アクアシステムは、そうした米国矯正の知見を背景にしながら、日本の臨床現場で使われてきたマウスピース矯正のひとつです。
設計思想の特徴 — アタッチメントを原則使わない矯正
開発者は、インビザラインとの主な違いとして、アタッチメントの有無と、マウスピースの歯ぐき側の縁(マージン)の設計を挙げています。
当院で行うアクアシステムでは、原則として歯の表面にアタッチメント(小さな突起)を接着せず、マウスピースの形状を調整しながら歯の移動を計画します。【要確認:例外の有無】歯の表面に突起を接着しないため、<strong>装置を外したときに歯の表面の見た目が変わりにくい</strong>ことが特徴です。
ただし、どちらの装置が優れているということではありません。装置ごとに設計思想と適応範囲が異なるため、当院では検査結果に基づいて治療方法を判断します。マウスピース矯正全般の比較は<a href=”/dev/mouthpiece/”>マウスピース矯正のページ</a>をご覧ください。
当院のアクアシステム — 開発者から直接学んだ治療法
当院院長は、開発者・宮島邦彰先生のセミナー(講習)を直接受講してこの治療法を学び、平成21年(2009年)に講習修了のディプロマ(修了証)を授与されました。【要確認:ディプロマ正式名称・セミナー名】以来、この装置による矯正治療を継続しています。
<strong>装置は院内で製作しています。</strong>当院では、治療のステップごとに歯型を採り、その時点の歯の動きに合わせて次のマウスピースを院内で製作しています。歯の動きには個人差があるため、実際の変化を確認しながら計画を調整しやすいことが、この方式の特徴です。装置が合わなくなった場合や紛失された場合にも、院内での作り直し・調整に対応できます(追加費用が発生する場合は事前にご説明します)。
アクアシステムが向いているケース
マウスピース矯正治療の流れ
費用について
マウスピース矯正
片顎(トレー5枚)
160,000円
標準的な費用(税込)
マウスピース矯正
両顎(トレー10枚)
320,000円
標準的な費用(税込)
総額に含まれるもの
検査 2,200円
レントゲン 4,400円
マウスピース(5枚まで)
再診料・模型代
調整・経過確認
※遠方の方には、1度のご来院で設計し後日まとめてお送りする対応も可能
※通院の目安は10回程度(2〜3週間ごとに型取り→約1週間後にお受け取り)
※保定装置(リテーナー):通常は最後のマウスピースが保定装置を兼ねるため、追加費用はかかりません。別途ご希望の場合は、マウスピース1枚分(11,000円・税込)
※ホワイトニングと併用する場合、ジェル代(1本2,000円〜・税込)
リスク・副作用について
マウスピース矯正は歯を削る治療ではありませんが、歯を動かす力をかけ続ける治療のため、一時的な症状や、歯・歯ぐきへの影響が生じることがあります。むし歯や歯周病がある場合は先にそちらの治療が必要になるため、事前の検査で確認します。
アクアシステムはアタッチメントを原則使わない設計のため、歯の形や移動の種類によっては対応できる範囲に限りがあります。適応外と判断した場合は、その理由と他の選択肢をご説明します。
痛みと知覚過敏
装着開始時や新しいマウスピースへの交換直後に、痛みや違和感が出ることがあります。また、歯がしみる症状(知覚過敏)を感じることがあります。
マウスピースを交換するたびに歯に新しい力がかかるため、歯が動き始める過程で一時的に痛みや圧迫感を感じます。いずれも次第に慣れていく方が多い症状です。
当院では、症状に応じてフッ素塗布などの処置を行うことがあります。痛みが強い場合や知覚過敏が長引く場合は、通院時に状態を確認して対応します。
装着時間と治療の進行
決められた装着時間を守れない場合、予定どおりに歯が動かず、治療期間が延びることがあります。
マウスピース矯正は取り外しができることが利点ですが、同時に、装着時間が治療効果を左右するという特性があります。
当院では、1日20時間以上の装着を目安としてお伝えしています。通院時に歯の動きを確認し、計画どおりに進んでいるかを確認します。装着時間の確保が難しい場合は、治療計画の見直しを含めてご相談します。
歯の移動に伴う変化
歯の移動に伴い、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)、歯の根が短くなる(歯根吸収)、噛み合わせに違和感が出ることがあります。
矯正治療では、歯を支える骨や歯ぐきに力がかかり続けます。これらはマウスピース矯正に限らず、矯正治療全般に共通するリスクです。
当院では、治療前にレントゲン等で歯や骨の状態を確認し、無理のない範囲で治療計画を立てます。通院時に歯ぐきの状態や噛み合わせの変化を確認し、必要に応じて計画を調整します。
歯の神経への影響
まれに、歯が矯正の力に耐えられず神経がダメージを受けることがあります。歯の変色などの症状として現れることがあり、その場合は追加の処置が必要になることがあります。
当院では、治療前の検査で歯の状態を確認し、リスクが高いと判断した場合はその旨をお伝えします。治療中も歯の変化に注意し、異常が見られた場合は速やかに対応します。
後戻りと保定
治療後、保定を怠ると、整えた歯並びが元の方向に戻ってしまうことがあります。
歯は矯正で移動した後も、元の位置に戻ろうとする力が残っています。一定期間は保定装置で歯の位置を安定させる必要があります。
当院では、治療完了時に保定装置(リテーナー)をお渡しし、装着方法と期間をご説明します。保定期間中も定期的に確認し、歯並びの安定を見ていきます。
装置の製作について
当院のマウスピース型矯正装置(アクアシステム)は、特定のメーカーが製造・販売する既製の医療機器ではなく、歯科医師が患者さまごとに設計し、院内で製作する装置です。製作には国内で認証された歯科材料を使用しています。
治療の内容、費用、リスクについては、治療開始前に書面でご説明し、ご同意をいただいたうえで開始します。
よくあるご質問
臨床30年、マウスピース矯正に20年向き合ってきて、お伝えしたいことがあります。
それは、症例によって適した治療は異なるということです。インビザラインやワイヤー矯正など、大がかりな矯正が適しているケースもあります。一方で、そこまで大がかりな矯正を必要としないケースもあります。当院では、歯並びだけでなく、噛み合わせや治療目的を確認したうえで、マウスピース矯正アクアシステムの適応を慎重に判断します。
検査をしなければ確定できません。
- 自分の歯並びがマウスピース矯正で治るか知りたい
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